大人のてんかん
てんかんは、脳内の神経細胞が突然過剰に興奮して意識障害やけいれんなどの発作が起きる慢性的な脳の病気です。
脳に病気が起こったり傷がついたりすると、脳の複雑なネットワークになんらかの障害が起こり、それが原因となり
てんかんを発症します。
大人の場合、原因は事故などによる外傷が多く、脳に傷がつくと一部がうまく働かなくなり発作を引き起こします。
他にも脳卒中、脳腫瘍、髄膜炎の後遺症などが原因の場合もあります。てんかんは、子どものときに発症することが多いため
子どもの病気と思われがちですが、実は最も発症が多いのが高齢者です。
てんかん発作には全身発作と焦点発作がありますが、全身発作の場合には、突然の意識消失の後に全身が震える全身けいれんが起こります。
焦点発作の場合には、口をモゴモゴする、手をモゾモゾさせる、一点を見つめてボーっとしている、問いかけても答えが返ってこないなど
症状はさまざまで、過剰な興奮が起こった脳の領域によってそれぞれ特有の症状が出ます。
また、人それぞれ発作の起こる領域が決まっているために、発作ごとに同じ症状が繰り返されます。
大人の場合、治療の基本は発作と防ぐ抗てんかん薬を服用することです。治療効果が安定するまでは、発作を誘発するような過度の肉体的・精神的に
負担となる仕事や運転、高所作業、夜間の勤務は避けて、睡眠不足にならないようにします。
幸い高齢者は薬が効きやすく、薬を服用していくことで9割近くの人は発作がなくなり普通の生活が送れるようになります。
てんかん発作は、いつ、どんな状況で起こるかわからないため、家族や職場など周囲の人が病気を理解しサポートすることが大切です。
また、高齢者のてんかんは焦点発作が多く、認知症の症状と間違われやすいため、気になる症状がみられたり同じ症状が繰り返されたりする場合は
てんかんも疑って医療機関で相談しましょう。